第18回全国病児保育研究大会発表
育児支援としての病児保育の役割―年間利用日数と利用回数の検討よりー
病児看護センターベアーズデイサービス
谷本弘子、守屋啓子
病児看護センターベアーズデイサービスの利用者について、年間利用日数と利用回数を検討しました。
スライド1に1997年度の開設から2006年度までの年度別利用者数を示しました。利用者の延べ人数と利用者の実数を示しました。いずれの年度も延べ人数が実数の4〜5倍であり、一人の利用者が平均4〜5日利用したと考えられます。
スライド2に2004〜2006年度の利用人数、最大利用日数、平均利用日数などを示しました。年間の一人平均利用日数は2004年度は4.83日、2005年度は4.88日、2006年度は4.5日でした。最も多く利用した利用者の日数は2004年度61日、2005年度42日、2006年度27日でした。
一連の疾病での利用を一回としてそれぞれの利用者の年間利用回数を求め、その合計と年間延べ人数から一回当たりの平均利用日数を計算しますと、2004年度1.61日、2005年度1.66日、2006年度1.61日といずれも2日を下回りました。利用する原因となる疾病が急性の疾病であること、一連の疾病の罹病期間すべてで病児保育を利用するのではなく保護者が仕事をどうしても休めない日に限って利用することなどにより、短い期間の利用となっていると考えられます。
年間10日以上利用者で一回当たりの平均利用日数を計算した結果をスライド3に示しました。2004年度1.77日、2005年度2.58日、2006年度1.94日で全体の平均より長い結果でした。年間20日以上利用者で同様に計算をしますと、2004年度2.01日、2005年度2.03日、2006年度1.84日でした(スライド4)。年間の利用日数が多い利用者は一回当たりの平均利用日数が長めですが、それでも2日前後であり、繰り返す回数も多いため年間利用が多くなっていると考えられます。短期間の利用を繰り返すという結果から、利用毎に利用者の状況は異なっていると推察されますので、その都度、状況を正確に把握することが重要であると考えられます。また、短期間の利用であることを念頭に置いて保育看護の内容を検討する必要があります。
年間20日以上の利用者は3年間で13人でした。いずれも0歳か1歳で保育所に入所し、入所年度から当施設の利用をはじめ、当施設利用開始初年度あるいは利用開始2年目に年間20日以上利用していました(スライド5)。その中で3年以上経過を追うことができた利用者はいずれも年々利用日数が減っていました。
それぞれの年度の利用者の実数を利用開始何年目かで分類しました。2004年度の結果をスライド6、2005年度の結果をスライド7、2006年度の結果をスライド8に示しました。いずれの年度も、利用開始1年目の新規利用者が最も多く、2年目、3年目と少なくなっていきました。利用者の90%以上は保育園入園など集団保育に入った年に当施設の利用を始めていますので、新規利用者が多いという結果は、集団保育に入って1年目の利用者が多いということを示しています。
2004年度の20日以上の利用者の3年間の経過をスライド9に、2005年度の20日以上の利用者の3年間の経過をスライド10に示しました。2年目、3年目と経過を見ていくと、いずれの利用者も利用が減っていきました。これらの結果は、保育園入園直後は感冒など疾病にくりかえし罹患するために病児保育の繰り返しの利用を必要としますが、年数が経つにつれ、疾病に罹患する回数が減っていき病児保育の利用が減っていくことをあらわしていると考えられます。
保育園入園直後は、こどもも保護者も、生活パターンが確立していない上に、疾病を繰り返すことが多い時期であり充分な支援を必要とします。その一つとして病児保育は重要な役割を担っています。病児保育の一番大きな役割は適切な保育看護を行うという利用者への直接の支援です。次に保護者にとっては、就労を続けることへの支援のみならず、子どもの病気の状態の説明や看護について適切な助言をおこなうことが必要です。保護者の多くは子どもの病状への不安のみならず、病気を繰り返すことに不安を持ち、中には保育園や病児保育に預けることに罪悪感を持っている場合もあります。今回の検討結果に基づき、病児保育の利用の多くは短期間の繰り返しであること、保育園入園直後の疾病を繰り返し病児保育の利用を繰り返し必要とする時期は多くの利用者では2〜3年で過ぎることなどを伝え、保護者を励ますことができます。今後も育児支援としての病児保育の役割を認識し、病児保育の内容を検討していくことが重要だと考えます。