第3回講演会 ひとりでがんばらないで
乳児健診
先ほど、私のことを知っていてくださった保護者の方がいらしたので、私が出ている一番の大きな事業ですね、健診の事について、まずそのあたりからお話し したいと思います。ご存じのように、6ヶ月と1歳半と3歳児の健診があります。その中に、保健師でもない、心理士でもない、福祉事務所から人が出ていく、 というのはどういう事か、ということになりますよね。その中で、私がお話しさせていただくのは、実は、「子育てについて」、という話になります。まず、み なさんに出会って、みなさんが席についておられる前で、10人から15人ぐらいのグループの前で、お話をさせていただきます。そうするとね、「子育てにつ いて」っていうと、みなさんすごく緊張なさるんですよ。肩に力が入ってね、「どうせちゃんと育ててよっていうんでしょ」っていうね、そういう顔をお家の方 がねフッと顔に浮かべられるんです。そうなんですよね。「こういう風に育てなさいね」っていう事を健診では言われるものだって思ってこられると思います。 そこで私は子育てについて「こうやって子どもさんを育ててね」という話をするのではありませんっていうことを、一番最初にお話しします。
それはどうしてかっていうと、私自身も二人の子どもがいて、それもいろいろな土地で子どもを連れて歩いていましたので、そうですね、幼稚園二つ、小学校三 つ、中学校が二つ、幸いなことに、高校だけは一カ所ですみました。そういう風にね、子どもを連れて歩いていますと、子育てをすることでの、家族の負担、特 にね、お母さんですね、気持ちの負担というのがどれだけ大きいかそれも、いろんな条件の中で子どもを育てて必死でやってるのに、何で世の中の人ってこんな 風にわかってくれないんだろうっていうね、自分自身が辛い思いをしてきたので、せめて健診で出会うお家の方には、それを言わない、そうではない別の、子ど もさんを育てている事での辛さあるいは苦しさをわかるスタッフがこの市にはいっぱいいますよ、っていうこと、そのことだけは是非伝えたいと思って、そのお 話しをする為にそこの時間をいただいて参加させていただくようにしているわけです。
具体的にはどんなお話しをしますか、というとね、先ほど紹介がありましたけれども、私、理科系の人間なので、慣習に基づいてとかね、世の中全体がそうだか らとかね、みんながそうしてきたからっていうのね、あんまり好きじゃないんですよね。子どもを育てている時に一番不安に思ったのは、子どもがどうやって大 きくなっていくんだろう。っていうことだったんですね。で、そのあたりをちょっと整理して、どこかの機会で聴くことがあると、ずいぶんと楽じゃないかなと 思ったんです。この中に、保育士さんがだいぶいらっしゃいますよね。保育士さんは保育の勉強をしておられるので、0歳に子どもがこんな風に、1歳2歳がこ んな風にそれから3歳ではこんな風にっていう大きな流れがわかっている中で、子どもさんを見て行かれますので、子どもさんの先の姿や、現在の姿がつながっ て見えると思うんですけども、家庭で子どもさんをみておられたり、お仕事をしながら大変な中で子どもさんを育てておられると、毎日毎日追いかけられるよう な気持ち、すごく苦しいし、少しは勉強はしたり、本は読んだりしても、その知識が全部一つにまとまってこないようななんか不安な気持ち、ありますよね。そ のあたりを少し整理して、健診というのはすごくいい場所ですので、お家にかえって今日健診があったよって、こんな話をしたよ、私はこう思ったよ、っていう ことが、わりあいと一年の内で一回しっかりと言える場所、だったりするので、その場所を使わせていただいて、子どもってこうやって大きくなっていくんです ね、って、大変ですねっていう話をするようにしています。いただく時間は五分もありませんので、すごく早口で、関東弁でしゃべるかもしれませんが、早口で お話しします。
まず、0歳の時、6ヶ月健診の時、お話しします。6ヶ月の時、0歳の時、子どもさん達が覚えていかれる事があるんですよっていう話をします。それは、人 が好きだなーという気持ち、人といると安心だなーという気持ち、それを0歳の時に子どもさん達はお家の方の中にいて、自然に自然に覚えていくんですねって いう話をするとね、とてもねお母さん達が軟らかい表情になられますお父さんもちょっと恥ずかしそうだけど、「ふん」みたいな顔をされます。これは保育士の 方はよくご存じだと思いますけど、基本的信頼感っていうんですよね、人と人との間の、「人を信じていいんだ」っていう一番の根っこになる基本的信頼感って いうそれを、言葉を換えて人が好きだなーとか、お家の人といると安心するなーって言う気持ち、そういう気持ちに例えてお話しするとね、とてもよくわかって いただけるような気がするんですけどどうでしょうか。
それちょっとわかりにくいわという方があったら、後でまた別の言い方を教えていただけたらすごく嬉しいと思います。それをお話しして0歳の時にそういう 安心した気持ちを持たれた子供さんは今度1歳半健診の時ですね、ものすごく良く動いて遊ぶでしょうと、お家の中をぐちゃぐちゃにしますよね、それはお家の 方が側におられて、安心した気持ちを持ってるから出来るんですね、っていうと、いやな行動ですよね、お家の中かき回されますますからね、ぐちゃぐちゃです もんね、どんなにわかっていてもいやだなと思うのが本音だと思うんですけども、そうなんだ、ちゃんと0歳の一年間この子は家族の中で守られてきた思いを 持ってるんだなーっていう、ちょっと安心の気持ちをもたれるんじゃないかなーと思って話しします。そして3歳ですね、3歳は反抗期です。もうお母さん達健 診の場ではほんとにうんざりしておられます、1歳半の忙しさとまた違う忙しさ、自分の自我が出てますから、何でも自分でやるっていう、出来ること少ない し、子どもさんの親への攻撃の言葉でみんなぼろぼろになってこられるんじゃないかと思います。そうじゃないでしょうか。で、どうしておきるかはとってもよ くね、ご存じなんです。どうして反抗期が起きてくるか、とてもよくご存じでもね、このへんの気持ちがね(胃のあたりを指す)、それがね、納得できないです よね、煮えくりかえりますもんね、で、そのことをお話しするのに、0歳の時にお家の方の中で安心して気持ちを持って1歳、2歳、安全な環境の中でしっかり 遊ばせてもらって、それで、この日があるんですよ、いうお話を、決して押しつけがましくなく話しているつもりです。
家族が子どもさんを見る時に、3歳の子どもを見る時に、この子が自分の中でやりたいことがいっぱい思い浮かんでいるのに身体が動かないで出来ない、そう いうジレンマを持っていると思うのと、それからただ、お家の人に向かって反抗して、すごい言葉ですよね、目つきもものすごいですしね、にらみますもんね、 怖い目をします、それでにらみつけられたお家の方はね、すくんでしまうと思うんですよね、でもこの子もこの辺を(胃のあたりに手をあてる)こう煮えくりか えらせながら、こう苦しんでいるんだという思いを家族の中でみなさんで受けとめていただけたら、ずいぶん子どもさんを見ていただく目が変わってくるかなー と思って、お話をしています。
実は、このことをお話ししたのが後の話につながってきます。先ほどいいましたけども、私は相談室に入ってはいけなかったと、自分で思いました。それはね、 どうしてかというと、ご家族の方ほんとにね一生懸命子どもさんを見ておられます。今とても難しい時代ですよね、この時代の中で自分の生活も支え家族の関係 も保ちながら子どもを育てていくということは、これは言葉には出来ないつらさと苦しさと、時には楽しさとあると思いますけれども。それに関わる人、特に健 診などに関わる人はちゃんとした先ほどいいました臨床心理士とか精神科医とかそういうきちっとした心の中の動きがわかる人がスタッフにはいるべきだと思い ましたのでね、相談室の仕事は、私達は何をすべきか、どういう役割でここにいなきゃいけないのか、ってことをずいぶん悩んだ時期があります。でその中で自 分自身の体験が先ほどいいましたようにね、自分の子育てなんてね、全然そこでは役に立たないんですよね。
ただね、出来ることが一つだけあるということに気がついたんです。 それは先ほどから言ってますようにね、この辺(胃のあたり)が煮えくりかえるような気持ちとか後から追われていてすごくつらいようなきもち嬉しいんだけど 嬉しいことを素直に話せる相手がいなかったり、ほんとに泣き叫びたいのに泣き叫んでいい場所がない、それからそういうことをだしていいって言ってくれる人 がいない、そういう時代に子育てをしてきましたので、気持ちはわかる、お家の方の気持ちなら私はわかるかもしれない、と思ったんですね。その気持ちがわか るということは私自身の主観の中でわかったらいけないんです。私の世界の中でわかったらいけない。うまく言えないんですけれどもね、例えば子育てのことを 相談した時にね、私こうやってきたわよっていう意見って、結構、嫌じゃありませんか。それがうちの子に当てはまるとは限らない、うちの家庭に当てはまると は限らない、と思いますよね。そうなんです。なので、私は何か意見を述べてはいけない、まずはみなさんの話を一所懸命、一所懸命聴こうと思いました。
