ホーム子育てひろば21子育て講演会>第3回>講演内容4

第3回講演会 ひとりでがんばらないで

3歳児健診のとき

つぎに3歳児健診の時なんですけれども、3歳児健診ね、子どもさん計測させたりすごく手こずるでしょ、嫌がるんですよね。園で慣れてておとなしくしてく ださる子どもさんもあれば、園でしてても不安な、こんなたくさんな人がいる所ですから、とても不安に思ってやんちゃいわれる方もあります。そのときに、お 母さんの気持ちお父さんの気持ちがね、なんでちゃんとせんのだっていってすごく、いらだつんです。そのいらだちを、こういう会場の中ではみなさんなかなか おみせにならないです。トイレに連れて行った時とか帰りがけにエレベーターの前とかで、気持ちが爆発しちゃうんです。

私達は気がついているんです、スタッフは、お母さんしんどそうだな、気持ちがすごくそうだろうなって思っていっぱい配慮はしますけれども、その配慮を越 えてまだ行き届かない。そりゃそうですよね、すごく嫌ですもんね。で、外にでてから子どもさんを揺り動かすように叱ってしまう姿を時々見かけることがある んです。そのときは、子ども自身もお母さんの気持ちを察して、そこでは泣きわめいてるんです。そこで、「抱いてあげればいいのに」って保育士さん思われる でしょ。そこで抱けば子どもさん落ちつくのにって思うんだけど、抱く気持ちよりもはるかに大きくお母さんの気持ちが揺れてる訳なんです。だからそのお母さ んに、この子どもさん抱いてって、言うのは違うと思うんです。そのお母さんの揺れてる気持ちを誰かがそばにいて一緒に感じてなきゃいけないんじゃないか なって健診に出ているスタッフはみんな思ってるんです。ただね、その側にいるって、言い方ってとっても難しくってね、言葉ってね、とてもいい時もあります けど、言葉では伝わらないこといっぱいあるんです。で、落ち着いてお茶を飲んでいただこうとするけれど、お茶も飲めないです。お母さんも飲めない子どもも 飲めない。その中で、お母さんの側に誰かがしばらくついて、一緒にいることを私達はなるべくするようにしています。ただいるだけです。子どもを膝に乗せて いても腕に力入りません、お母さん力入りません、なので、ずっと側にいます。で、お母さんが泣きたい時はどんどん泣いてもらいます。泣いていいよ、とも言 いません。その場を立ってね、帰りたいお母さんもあると思うんですけれども、少しだけここで休んでから帰られたらって言って、それだけは声をかけて、しば らく誰かが側にいるようにします。そうするとね、お母さんと子どもさんはお互いにこう、よく例えに使われるけれども、ハリネズミが針で刺しあうみたいって いいますよね、そういうのを読まれたことある方があるかもしれません。ものすごくお互いに大事だと思っているのに、そのとき、両方からするどいトゲがで て、刺しあってるみたいに見える時がときどきあります。その刺しあってるような姿を私達が側で見てて、お母さんの気持ちに、ただただ側にいるだけ、寄り添 うだけ、そうしていると、すごく失礼な言い方かもしれないけど、お母さんが愛しく見えるんです、ものすごい愛おしく。この方ものすごく一所懸命、すごく子 どもを可愛いと思っておられる、だけど子どもを揺さぶってしまうし、子どもに手が出てしまう、でもこの人はとてもこの子を大事に思っているっていうのが、 側にいると伝わってくるんです。

お互いにらみ合ってますよ、すごいにらみ合ってますけど、とても大切だからこの子どもさんの言う言葉や態度に傷つけられる。それから、お母さんがそうやっ て悲しんだりいらだったりすることに子どもがまた反応している。その様子を感じた時に、ああ、このお母さん、ほんとに私達抱きしめてあげたいな、ってこう 思うわけです。実際にはしないんだけれども、抱きしめるような気持ちで、側にいて、側にいたいと、ただいたいと、私がいたいと、あるいは、スタッフの誰か がいたいと、してあげるじゃないです、いたいと思うだけです。そのいる中で、お母さんがね、子どもを抱く力が少し戻ってくるんです。お母さんが少しでも子 どもさんの背中に手を当てて、抱こうとすると、子どもさんも落ち着いてこられます。その時に子どもさん達が言う言葉がね、必ずあるような気がするんですけ ど、保育士さん経験されたことあるんじゃないかと思うんですけど。特に私なんか初めて出会った人ですよね。で、子どもさんがね私に「嫌いだ」って言うんで す。「馬鹿」って言うんです。「馬鹿あっちいけ」っていうんです。 お母さんはいらだってますから、「そういうことをよその人に言っちゃいけません」って いうんですけど、「馬鹿あっちいけ」って言った子どもさんにお母さんが注意したことについて私はお母さんに何も言わない様にするんです。その時は子どもさ んに「そうだよね、おばちゃん嫌いだよね、大事なお母さんとこうやって話そうとしてるもんね。今、僕だけのお母さんでいて欲しいのに、おばちゃんお母さん と話そうとしてるもんね。嫌だよね」って言うと、お母さんがそれを聞いておられてすごく気持ちはいらだっているんですけれども、表情が変わるんです。

子どもさんがお母さんを求めていることはお母さんはとってもよくわかっている、でも自分も上手に表現できないし受けとめられない。その受けとめられない所 にまたいらだちの気持ちが出てきているのかな。でも子どもさんがよそのおばちゃんにむかって、初めて会った人に「馬鹿あっちいけ」って、「おまえなんか あっちいけ」って、時には「死んでしまえ」なんて言う子どもさんがあると、こんなに激しく自分を求めているんだなという事を間接的に感じられるみたいで す。そうすると、お母さんが子どもさんを抱く力がまた更に強くなるように思います。30分も1時間も実はかかって、気持ちが落ち着いて帰られるまでにかか ることがあります。私達の仕事はその後、お家の方が望まれればお話を聴いていくことになります。望まれればって大事なことですよね、ご自分の中で気持ちの 整理が出来ると、私達ってもう必要ないんです。よくこれを「捨てられる」って言うんです。みなさんとお話聴いていい関係ができたなっと思ってたらある日突 然関係が切れるんですけれども、それはもう必要ないって事です。側で話を聞いたりする人はもういらない、あ、また捨てられちゃったけど、きっとあのご家族 はあそこで元気にしとられるんだろうな、っていうそういう気持ちで逆にうれしく思うことがあります。

次のページへ