第5回講演会 子どもが育つみちすじ
幼少期の話をご専門の方は幼児教育、あるいは保育のご専門の方は、幼児期の話が中心になるかと思いますが、私はあの思春期というところが専門で、思春期、 青年期にどちらかといえばお店を出しているような人間で、お客さんはほとんど10代の若者で、ま、そういう職業がらここで言いますと二幕ですが、二幕の話 から始めます。
つまり、皆さん、今お母さんお父さんでいらして、小さなあどけない子どもたち、6歳までの乳幼児期にいる子どもたちを育てていらっしゃいましょう。あるい は、保育士の先生やご相談に応ぜられる方も、最初の一幕のそれも最初の時間、ういういしい時間ですが、そこで悩んだり苦しんだり考えたり楽しんだりしてい ただく、それはもう素敵なことではありますが、実はここで何をしているか?
どのような人間性の発達が内側にです、外側ではなくて内側に、子どもたちになされているかが、二幕に大きく影響するというところから始めたいと思います が、人生は三幕のドラマ、人間の発達過程ということで、一生涯を発達のプロセスととるということを、まず最初に申し上げます。
つまり、成長発達というのは、多くの人はだんだん背が伸びていく、体が大きくなる。そして、言葉を話し、知的にも様々な機能がどんどん増大して、右肩上がりにね、どんどん、どんどん出来るようになるのが、成長発達の考えだと思います。
そうしますと、だいたい20歳で生物体というのは頂上を極めます。大山でもそうですね。
大変高い山で、一生懸命登り坂があって登りきる。もう本当に頂上に達した時の喜びの大きさ、ここまで生きてきたぞっていう、ここまで歩いて来たぞという喜 び、大きいと思いますが、しばらく頂上にいましても降りなければなりませんからね。ずっといる訳にはいきませんので、年齢的にいいますと、20代あたりが ピークで、生物体の生理的なレベルで考えますと、そこがもう最高の充実した時間で、やがて老化をしていきます。どんどん、どんどん衰えていきます。
もう、皆さんも、どんどん、どんどん下り坂で、恐縮ですが、もう私なんか60代も半ばになりますと、もうほとんど下のもう降りるところなくなるところまで降りて来ています。
で、そういう意味で言いますとね、発達というのはここで言いますと20歳までのはずだと、おかしいなぁとお感じになるかもしれませんが、実は発達の概念が何かということで、一生涯が発達のプロセスという訳ですが、多少大学の講義めいてまいりましたが、 発達というのは、ちょっと説明いたしますと、英語でdevelopment(ディベロプメント)という単語をよく当てはめます。あるいは英語のdevelopmentを発達と日本語に訳しますが、この言葉大変意味深い言葉なんですね。
もとの原義、最初にこの言葉が生まれてくる意味づけが、英語の字引を引いてみますと、大きなオックスフォード辞典あたりを引いてみますと書いてありますが、gradual(グラジュアル)、unholding(アンフォールディング)と書いてあります。
で、これはどういうことかっていうと、gradualというのは徐々に徐々にってことなんですね。ゆっくり、ゆっくり。一挙にはないんですね。徐々にとい う英語です「gradual」ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり、ゆっくりね。決して早足ではない。しかし、しぶとくね、ずーっといつまでもというイメージが あります。
で、「un holding」って、これが味わいのある言葉なんですが、hold(フォールド)という単語が見えてると思いますが、フォールドというのは、フォール ダーって皆さんお持ちかもしれません。こういろんな書類を入れてパターンと閉じて、こう小脇に抱える、フォールダーっていいますね。
つまり覆い隠す包み込むという意味なんですが、その包み込んだものを「un(アン)」というのは反対ですから、開くということですね。
覆われているものが表面に出てきて、パーンと開けますと、中にいっぱい書類が詰まっててね、外から伺いしれない沢山の知識やら内容が、開くと初めて出てきますが、そのイメージです。
内側にあるものが、覆われていたものが、表面に出てきて広がるという意味です。
“広がる”まあどう訳してもいいですが、だいたいそういうイメージをお持ち下さい。つまり、生まれてくる前に人はその人その人、皆さんもお一人お一人、赤ちゃんも一人一人の子どもが自分を持ってきます。
で、その中に、最初は小さな種ですが、植物もそうですね、こういう植物も全部そうですけれど、一生涯生きていくすべてが、あの小さな種の中に全部つまって いるんですね。で、生まれてきた時の手を持って、生まれてきた時の足が小さな足だった、その手や足がずーっと成長発達をしながら死ぬ日まで、私は私の手を もって生きる訳ですね。決してよそのものをここで継ぎはぎした訳ではない。必ず内側から自分のものを育てあげていく。
