第5回講演会 子どもが育つみちすじ
それから、その次が自発心ですね。これが、5、6歳になります。
この上ですね、4,5歳、4歳から6歳ぐらいまでの年長さんあたりでしょうか。で、この時はもっとスケールが大きいです。まだ、3歳ぐらいまでは、子ども がヨチヨチ歩きからやっとこさ言葉が少し出てきて、3歳になったら「パパ会社行った」と三語文ぐらい言えたら恩の字ですね。ところが、もう3歳ぐらいから 爆発的に伸びていきます。そしてもっと、もっとっていう思いが湧いてきます。もっと、もっと、もっとっていう思いの時は、これは自発心というイニシアティ ブという英語ですが、欲望と置き換えてもかまわないくらい、自分の内側から発する心ですからね。自発というのは、自分の内側から発する心の中に最初の火種 がある、元がある訳です。
ここから伸び上がって、ボールがあったら蹴りたくて蹴りたくて、ブランコがあったら乗りたくて乗りたくて、積み木があったら積みたくて積みたくて、絵が あったらこうやって描きたくて。やりたくてやりたくてたまらない。これ、自発心って言うんです。自発ですからね。他人がさせるの、他発ですね。子どもはや りたくもないけども、お母さんの顔見たり、先生の顔見たら、これやらなくちゃいけないと思う、目に見えない金の糸みたいなものでやらされとる訳です。する とお母さん、「私は言ったことありません」とおっしゃるけど、顔見たら判りますよね。もう満面笑みを浮かべているのを見れば、子どもは「やらなくちゃなら ん」と思う。もうこれ以上渋い顔は出来んという顔をされると「やめよう」と思う。コントロールされてますもんね。「この子がやりたいからやらせてます」ぜ んぜん他人が目に見えぬ糸でコントロールしてますからね。欲望なんです、言ってみればね。
始発はやりたいからやらせるというのがあって、これから自発心というのは伸びていくのが本来。これが自発心。だから、一番4.5歳の子どもは聞きたいことを聞きます。「どうして」何とかんとかでたくさん聞きますね。
それから、行きたいところへ行く。ちょっとしたこの出っ張りがあると、その上に乗っかりたい。それから砂の山があったら、膝こぞうを擦りむいても上がって みたい。上がったからって何になるのか知りませんが、上がってみたい訳です。こういう心というのは、生きていく上でものすごく大事なんです。大人になった 時にね、自発心というのはすごい大事なんですが、この時期に最も重要なことの一つがね、自発心というのは“隅”とセットものなんです。隅という領域があり ます。これは禁止区域がある。ボールを蹴飛ばしたり、大声で歌ったり、もうやんちゃしてその辺を走り回っている、運動場なら○です。「元気がいい子ね」み んな目を細めて喜びますが、ふっと今度教室に入ってきて、ボールを同じ勢いで蹴飛ばしたら・・・禁止区域ですね、入ちゃいけない所に入りましたって、誰か が言わないと駄目です。そこでボールを蹴っちゃいけないんです。これは彼らが悪い訳でもない、この世を生きていくためのルールです。
ルールです。そうしないと窓ガラスが割れますしね、人に迷惑がかかりますよね。同じ行為でも、ここへ入ってきたら、ここは二重丸で自発心があるねぇー、 ずーっと言われてくるけど、ここはペケですね。これルールとしてペケなんですよ。この世に一人しかいなかったらルールは要りませんから、もうどこの端まで もボールを蹴って行けば結構ですが、人が一緒にいるんで、約束事を守らないと、これはしょうがない訳ですねということです。
と、私は説明します。
で、そのルールに違反を、たいてい4,5歳の子どもは毎日やると思います。この時に大人は何するか。ルール違反を教えることです、親切に。親切に、親切に教えることです。
で、それは教えられないと、ここに線があるってことを知りません。生まれてこのかた、ボールはここへ入って来たらしちゃいけない。電車に乗ったら大声で走 り回ったり、騒いではいけない。みんながせっかく静かにちゃんと乗っている時困る。レストランで走り回っちゃいけない。いきなり人の顔を、どんなに腹が 立っても叩いちゃいけない。人に迷惑かけちゃいけない。ね、そういうことです。
どんなに欲しくても人のもの、取っちゃいけない。こういうのみんなルールなんですね。これがやがて法律になりますし、法律ですね。規範になりますね。社会の規範。これはこの時期に最もしっかりと培う必要があります。
