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第5回講演会 子どもが育つみちすじ

今言った5分後にまた同じ事をやりますからね。「さっきたしか言ったでしょう・・・」そんなこと言わんでいいです。5回であろうと、100回であろうと、 「今、私は言っておく、親切だからね。あんたの心はいいことは分かってる。しかし覚えるしかしょうがない」私の家では必ず同じセリフなんです、いつも。 「人生はそういうもんだ、覚えるしかしょうがない」「それはどうして?」
「どうしてじゃない。もうこういうことになっていて、あなたはこの世に生きている限り諦めるしかしょうがない、だからそこを通過したら必ず注意してあげるから」・・・
そうしているうちに、やがて通過してしているうちに、本当に誰も見ていなくても、人の物を取らなくなる。ここ何度も何度も通過してね、まわり見回してね。
私も釣銭ごまかしてね、母からもらったお金を持って絶対買っちゃいけませんっていう悪本を買ってね。本屋に行きまして、小学校3,4年か忘れましたが、母 に頼まれた釣銭を持って本屋の前を、ガラス戸の前を行ったり来たりしてね。もう汗でじっとりなって、こうやって握りながら、どうしょうか、どうしょうかと 思って、とうとう意を決してパッと中に入って。岡山の田舎なんですけれども、本屋さんは一軒しかないんですが、そこへ入って、おばさんにパッと出して、
「これ下さい」って言ったら、またおばさんが、すんなりとくれる訳ですわねェ、お金を出しますから。こんなに簡単に手に入るんだわぁと思って。またそれを 大喜びでかかえて帰りながら、ふと思って。「さあ母にどう説明するか」で。もう考えても考えても小さな頭で考えても、ろくなこと思いつきませんから。
「帰り、そこのところで蹴躓いて、鉄板のところでお釣りを川に落っことして」こんな嘘を、見え見えの嘘はないと思うのに、母はコロリと騙されて、それで、「帰りが遅いから心配していたけども、探してたの?まぁあなたは一生懸命探したのね」と褒めてさえくれて。
それで、なんて簡単に大人は騙せるんだ、とその時思いました。こんなに簡単に騙されるんだーと思って。それで、もうその悪本を隠して隠して持って帰って ね、自分の部屋に帰って、半分はなんとなく面白くて得したぞ、って思いながらも、なんか母に二度と顔向け出来ないことをしたような人間になったような気 が、ちょっとしましてね。ちょっとちくりと胸が痛くって
「あーやっぱり、こんなことこんな思いするぐらいならしない方がいいかなー」と、ちょっと思ったりして、それでももちろん、嘘はしょっちゅう子どもの時からかなり上手ですから、ついて。
また、父親も母親もすぐ騙されますから。で、簡単にこんなに簡単に騙されるんだという経験を、たぶん、どなたでもなさってると思います。
ところが、ある時それをしなくなる。それは自分の中で通過している。今、嘘をついたという通過という意識をもってるから、ずっとなんとなく居心地が悪くて ジクジクしてる。それが、5年か6年か10年、ある時自分の中で、自分として誰に叱られようとも叱られまいとも、こんな思いするぐらいなら嘘をつかないで いこうと自分に決める。これをモラルといいます。
モラルというのは、内側が育たないと本当のものにはなりません。外から見てりっぱな行為をしてるからモラルなんて言ったら、今の偉い人たちが、嘘ばっかりついているのはどうなりますか?ってことですね。
私たちもそうです。いい大人になっても嘘をつきますが、どこかでチクチク思う。子どももチクチク思わないと駄目です。これは言ってない子どもは思いません。なんで人を殺しては悪いの?なんで叩いては駄目なの?という子になってしまいます。
「殺してはいけないの」私はもうこれはしてはいけないことなのと、思春期の若者に言います。
性の逸脱行動とかね。いわゆる、ちょっと遅れてきましたが、援交、援助交際、本当に多いですからね。小学生あたりから・・・。そして嘘ぶきますからね。別に減るもんじゃない、誰も文句言ってる訳じゃない、どこが悪いんですか?
そういうこと言われて親御さんがわが娘がそう言った時に、どうやったらいいでしょうか。
「それはしてはいけないことしてるのよ」と、「これはあなたがどんなに言おうと、してはいけないことなの。」「どうして?」「どうしてじゃなくて、人生と はそういうもの、これは人間として定められている大事なルールなのだから、これ以上は言わないわね」って、私はそれ以上説明しません。
私はそれ以上言わない。してはいけないことなのって言うと、逆にふっと黙ります。あーだから、こうだから理屈じゃないんです。これはね、共に生きていくた めに、人間が決めているルール、もちろん法律も、その時その時の社会で少しずつ変えていきますが、原則的な人間として守らねばならないこと。これを犯すの は人間の常なんですね。

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