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第5回講演会 子どもが育つみちすじ

だからそれぐらいなら、まああっち側へ行かないように、なるべくしようと思うのですが、非行児に会うとややね、やや尊敬もこめて「あなた、先輩ね」って言いたくて、「いい経験だよ」って本当に言ってあげたくてね。
学校に行かない子や引きこもっている子も、人とつながるってなんて難しいだろうって思う。昨日まで口笛吹いてね校門入ってた訳ですから。それが何故にか校 門をくぐれなくなる、それは人間が駄目になったんじゃなくて、自分の中で自分の問題がおこってきている訳です。いいチャンスですよ。真っ直ぐ学校へ行って る子が立派でもなんでもない。たまたま人の背中見てね、運動会の行進みたいで、前の子が歩いてく後ろついて行けばどこかに行きますからね。
円をえがきましょうって言ったって、タッタタッタ行ってるだけで、自分一人で歩くったら大変ですよね。背中が前の背中がないんですもん。よくよく考えてみ たら、学校へ行ってたというのは別に「本当に行くぞ」って、毎日いちいち決心して行った訳でもなんでもなくて、ただ惰性で行っとったような気がしますか ら。
行かない子がね、ある時ちょっと靴紐直したり、ちょっとまわり見回してちょっと気持ちが重くって行かれなくなって、一日二日行かれなくなって、いわゆる不登校になるっていうのは、別に人間としてどこも失格ではなくいいチャンスだと思います。
それは、彼は立派とか立派じゃないじゃなくて、自分は何をしているんだろう、なぜ学校へ行くんだろうって、今まで考えたこともなかったでしょう。今考え る、あそこに人がいる、今まで友だちにあんまり悩んだことがなかったのに、たった一人の誰かのまなざしや声が気になって行かれない、あなたはそれだけ敏感 に世界を感じ始めたのねって言ってあげたいし、世界ってそう言うものよって。
そういう時が大人になってもいつの時代でもある。で、それを越えていく時に人と人とつながることが、前よりももっと深くなる。いいチャンスだから、また転んでもただで起きるなといつも言うんですが、何をやっても転んでもただで起きちゃ駄目よって、いい経験なんだから。
思春期はそういうことが言えて、私は思春期を一生涯の仕事にしたかったのは、いい季節だからです。だって真っ当な季節ですもの。10代をかけてしっかり悩 んでごらんって言ってあげますし、まだまだ10代が何年かあるから焦らないでおいで。あなたが大人になって本航海をする時まで時間があって、試験航海をし ていっぱい間違いをして自分を見つけて、本当にかすかでもいい、私には私の力があると思って大人の時間を迎えてほしい、というのが思春期の願いです。
思春期は嵐の季節ですが、恵みの季節でもあります。一番美しい季節ですね。

大人になって大人の話はもう出来ませんでしたが、自立と共存、みなさん生きてらっしゃると思います。
で、みなさんが今日いらっしゃってるのは、自立をして家庭をもっている、あるいは社会の中で仕事をなさってる。それは人が褒める立派な仕事とか立派でないとかそんなことは一切関係ありません。自分の人生で、自分に自分らしく何かを成すことを仕事すると言います。
ここに、愛することと働くことと書いてますね。私の好きな言葉ですが、大人になってするべきことは、自立と共存であると共に、愛することと働くこと (loving and working)だと思うんですね。これはフロイトという人の言葉ですが、「この世に究極なさねばならないことはたった二つ」
だとフロイトは言いました。「愛すること働くこと」だと。私は大好きな言葉です。
あの、愛すること、やっぱり愛するというのは人間の情緒性の一番美しい姿ですね。自分を愛する、人を愛する、自然を愛する、生きることを愛するとよく言われます。愛すると言うからには、悲しみを感ずるというのも必ず反対側にあります。
うまく愛せないという時の、辛さもあるでしょう。それを含んで愛することから逃げ出さないこと。
それから働くこと。働くというのは、立派にどこか職業に就くってことではありません。どんなことでもいい、自分に相応しい形で何かを成すことです。それが生きるということと同義語だと思います。そういう力を持って本航海に漕ぎ出してほしい子どもたち。
そのために私たち大人が親が子どもわが子、先生が生徒、育てているんだろうと思います。

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